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トレーサビリティとテストカバレッジはなぜ重要か

この記事はTaryn McMillanによるゲスト投稿です

ソフトウェア開発ライフサイクルはストーリーを語ります。着想から完成品までの過程で、チームは物語を作っているのです。開発の各段階で行った変更をどのように文書化するかは、製品の品質に少なからず影響を与えます。 

この記事では、開発成果物の品質を確保するために考慮すべき2つの重要な要素、すなわちトレーサビリティとテストカバレッジについて説明します。トレーサビリティとテストカバレッジを適切に実践すると、要件と実際のソリューションが直線で結ばれます。これはテスト作業をスムーズに進めるうえでおおいに助けになります。 

トレーサビリティとは

トレーサビリティはソフトウェア開発ライフサイクルのあらゆる段階でビジネス的な背景情報を提供します。アプリケーションがなぜ現状のように設計されているのかという洞察を可能にし、ソフトウェア機能の特定部分を対象とするテストケースを設計できるようにします。トレーサビリティが確保されていれば、QAチームが各テストおよびテストに関連付けられた要件の背後にあるロジックを推察しやすくなるほか、開発チームおよびエンジニアリングチームにとっては、テスト中に見つかった問題の切り分けが容易になります。 

優れたテスト管理システムの主要な特性は、前方にも後方にもトレースできることです。QAを実施するたび、要件からテストケースにまっすぐ線が引かれます。その後、前後に線をたどってテスト実行が要件を完全に満たしたかどうかを確認できます。

トレーサビリティがあれば、そもそもテストが作成された理由がわかります。解決済みの問題から、成功したテストへさかのぼることができます。未解決の問題から、未成功のテストへさかのぼることができます。ソフトウェア開発では、コードおよびドキュメントからそのソースへさかのぼることが可能であるべきです。開発ライフサイクルにおいて定期的にそういった依存関係を解析すると、チームメンバー間のコミュニケーションが改善され、製品の全体的な品質が向上します。 

テストカバレッジとは

テストカバレッジとは、テストケースまたはテストスイートが検証するアプリケーション機能の範囲を表し、アプリケーションのすべての部分に対してテストが作成されたことを保証します。テストカバレッジを解析すると、単体テストまたはテストスイートによってソフトウェアのある部分がどの程度カバーされているか、またテストが欠けているコードや機能がないかを判断するのに役立ちます。TestRailなどのテストケース管理システムはテストカバレッジを視覚化し、QAプロセスのギャップを特定するのに役立ちます。 

テストカバレッジの計測は簡単で、テストサイクルの任意の時点で実施できます。ソフトウェアアプリケーションの場合、テストカバレッジはテストでカバーされたコード行数を総行数で割り、パーセント値に換算することで求められます。 

この計算方法でおおよそのテストカバレッジを見積もることができますが、アプリケーションの機能ごとにテストを視覚化したい場合のほうが多いでしょう。別の方法として、まずアプリケーションの機能を大まかに分け、階層として整理します。その後、カバレッジ率を各機能に当てはめると、機能が十分テストされたかどうかという信頼性の代替値として使用できます。TestRailに表示されるようなテストケース構造ツリーは、全体的なカバレッジを精査するのに便利なツールです。

あるいは、関連付けられた要件をカバーするテストケースの数をカウントし、どの要件もカバーしないテストケースの数で割り、パーセント値に変換することもできます。TestRailのレポートには、この値がデフォルトで含まれているので、テストカバレッジの計測プロセスが簡略化され、よりよいテストケースを設計することを可能にします。 

トレーサビリティとテストカバレッジについて概要を把握したところで、次はなぜトレーサビリティとテストカバレッジを重要事項とするべきなのかを説明しましょう。

トレーサビリティおよびテストカバレッジの利点

業界標準や品質目標を満たす

トレーサビリティは、テストケースがすべての要件を満たしているという信頼を与えてくれます。安全性が問題になる業界では、法的規制や品質ガイドラインに準拠するためにトレーサビリティが重要です。また、トレーサビリティはステークホルダーにプロジェクトが決められた目標に順調に向かっていることを保証します。 

トレーサビリティを実現すると、テストが必要なあらゆるものが検証済みであることの証拠と信頼性を確保できます。製品の複数のバージョンが並行して運用環境にデプロイされる状況では、どのテストケースがどのバージョンのどの要件にリンクしているのかがわかりにくい場合があります。TestRailなどのテスト管理ツールを使用すると混乱を避けることができます。TestRailでは、複数のバージョンを並行して管理し、テストを要件や欠陥と容易にリンクできます。結果として、ドキュメントがより簡潔で保守しやすく、必要に応じて容易にスケールアップできるようになります。

コンプライアンスを維持する

規制の厳しい業界では、コンプライアンス認証を維持するためにトレーサビリティが必須である場合があります。トレーサビリティを実現することで、製品を顧客にデリバリーする前にどんなプロセスに従って品質を保証しているかや、問題が発見されたときにどのような修正を行っているかを明確に証明できます。これは、内部または外部の監査者に設計とポリシーへの準拠を証明する必要がある場合には特に重要です。

テスト範囲を管理する

どんなQAチームにとっても、スケジュールを守り予算内に収められるかどうかは大きな懸念事項です。トレーサビリティはテスト範囲の管理に役立ちます。テスト管理ツールを使用すると、マイルストーンの進捗を把握し、ToDoアイテムを追跡し、必要に応じて締め切りを調整できます。また、特に重要な要件をハイライトし、優先するべきテストを抽出するのが容易になります。

視覚的な記録を利用できることは、効果的なテストケースを設計するための環境を充実させます。余計なものがテストされていないかを確認することも可能です。たとえば、製品から削除された機能はもうテストする必要がありません。反対に、新しい機能が追加されたり既存のテストが的外れである場合はテストカバレッジを強化することもできます。 

いずれにしても、必要な場所にだけ労力を向けることでチームメンバーの生産性を最大化し、コストを抑制し、チームの効率を改善できます。 

バグや欠陥を排除する

トレーサビリティはすぐれた品質管理手段です。QAプロセスのリアルで生きた記録があるということは、将来のテストケースを的確なものにできるということです。つまりバグや欠陥が見逃される可能性が低くなります。 

トレーサビリティによって情報の文書化が強化されていれば、バグや問題をさかのぼって根本的な原因をつきとめるのが容易になります。その後、問題からテストケースへと追跡すれば、問題が解決されたことを改めて確認できます。テストでより多くの欠陥を発見するほど、製品の品質を改善する機会も増えます。 

チーム内のコミュニケーションを改善する

あらゆるテストチームにとって、よいコミュニケーションは基本的な要件です。しっかりとしたトレーサビリティおよびテストカバレッジ計画があれば、チームメンバー全員が同じ前提に立つのが容易になります。中央化された場所にテストデータを保存することが重要です。そうすれば、以下のような重要な情報にいつでもアクセスできます。

テストデータを管理する方法の1つがトレーサビリティマトリクスです。トレーサビリティマトリクスは、QAプロセスに存在するさまざまなリンクを網羅した表またはスプレッドシートです。別のソリューションとしては、TestRailなどのツールを使って要件およびテストケースを視覚化し保存する方法があります。どのようなソリューションを選択した場合でも、チームメンバーはテスト作業を俯瞰できるようになります。 

トレーサビリティとテストカバレッジでリスクを最小化する

トレーサビリティとテストカバレッジにどれほど価値があるかは、もうおわかりいただけたと思います。肝心なのは、トレーサビリティとテストカバレッジはリスクを最小化するのに役立つということです。1つの製品に何か月あるいは何年もかけているなら、QAテストプロセスに漏れがなく確実であることを確認するとよいでしょう。 

TestRailなどの中央化されたテスト管理ツールはトレーサビリティを実現し、開発プロセスを合理化します。TestRailはWebベースのツールであるため、いつでもすぐテスト作業の記録にアクセスできます。さらなる利点として、TestRailは既存の課題および欠陥トラッキングツールと統合し、テスト管理プロセスにシームレスに追加できます。トレーサビリティとテストカバレッジメトリクスをQAワークフローに取り入れるなら、今がその時です。

Taryn McMillanはソフトウェア開発者兼テクニカルライターです。専門はUnityでのC#を使用したゲームおよびシミュレーション開発です。生涯にわたる学習者として、テック分野で新しいスキルを獲得するのに情熱を燃やしています。Taryn とつながるには InstagramまたはTwitterで @tarynwritescode をフォローするか、ウェブサイト tarynmcmillan.comを訪問してください。

(この記事は、開発元Gurock社の Blog 「Why Are Traceability and Test Coverage Important?」2022年2月18日の翻訳記事です。)

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