この記事はNishi Grover Gargによるゲスト投稿です。
テストの概念やテクニックは学ぶことができます。しかしテストの才能となると、話は別です。何が人を生まれながらのテスターにするのでしょうか?どんな特性やスキルがある人が、テスターという職業に生まれつき向いているのでしょうか?
優れたテスターにおのずとなる人たちには、以下で説明する4つの特性があります。これらの特性を伸ばすと、テスターとしてのキャリアに役立ちます。マネージャーは、新しくテスターを採用しようというとき、これらの特性を備えた人を探すとよいでしょう。
コミュニケーション能力
テスターは議論し、学習し、報告するために、常に開発者、マネージャー、営業メンバーと話す必要があります。また欠陥レポート、進捗レポート、その他あらゆるステークホルダーにとって有用でなければならないさまざまなドキュメントを作成する必要があります。
会話でも文書でも優れたコミュニケーションスキルを持っていることは、テスターにとってまぎれもなく有利です。アジャイルチームでは、すべてのチームメンバーに積極的な発言と参加が求められますが、コミュニケーションラインの確立、共同の作業や意見の一致などにおいて、テスターはより大きな役割を果たします。
もともと人と話をするのが得意で、議論に説得力があり、考えを明確に言葉にできるという、テスターとしての仕事をより分かりやすく効果的にするのに役立つ特性を持つ人もいます。そういう人になりたければ、まず、あらゆるミーティングやディスカッションでもっと積極的に発言するようにしましょう。また、より適切なバグレポートを書く方法を学び、対話では明確にはっきりとものを言い、テストの意義を説明できるようになるべきです。
共感能力
アプリケーションのユーザー体験を想像するため、テスターはさまざまな視点から考える必要があります。アプリケーションがどのように使用されるか、キーとなるユーザーフローについてチーム全体が意識するべきですが、中でも特にテスターは、テストを行う際、システムのユーザビリティ、体験、学習しやすさに注目するべきです。ユーザーの妨げになるもの、あるいはシステムのフローを中断させるものを見つけるため、テスターは共感して思考する必要があります。
それに加えて、能力の異なる人、年配者や年少者、色盲など視覚障害のある人など、さまざまなタイプのユーザーに注目し、それぞれのコンテキストに合わせたアプリケーションのアクセシビリティを検証しなければなりません。
もともと共感的で、他人を思いやり、ユーザーのストーリーを気にかける人は、自然と良いテスターになれるでしょう。このような特性を身につけるには、まずはユーザーをよく知ることです――統計、技術的能力、そしてユーザーの本当のニーズを知る必要があります。テストするときは、ユーザー体験を考え、アプリケーションのどこでユーザーが苦労するかを探しましょう。チームの他のメンバーに気配りし、相手の身になって考えることも忘れずに!
好奇心
良いテスターになるには、新しいことを学習し、発見する好奇心が必要です。テストは終わりのない活動です。テスターがアプリケーションの欠陥や問題、リスク領域をもっと多く見つけようとテストを続けられるのも、好奇心のおかげです。テスターはいつであっても、明らかな既知の事実を越え、現状を疑うことができなければなりません。クリエイティブでリスクをいとわず、自発的に行動する人は、このような役割にそのままぴったりはまるでしょう。
たとえば、断続的に発生する欠陥に対処するとき、本当の問題と根本的な原因を解明するには、同じ手順を何度も何度も繰り返し、異なるテストデータを試し、製品の動作を調べるために、途方もない忍耐と粘り強さが必要です。アプリケーションの履歴から未解決の欠陥を探し、原因を突き止めるまであきらめずにやってみましょう。必要な情報をすべて集め、開発者が解決策を見つけられるよう、他のメンバーを巻き込んで助けを求めましょう。
几帳面さ
テスターを採用しメンターを務めてきた個人的な経験としては、きちんとしていて周到な人のほうが、そうでない人よりはるかに優秀でした。テスターは複数のタスクを管理し、さまざまなドキュメントを作成し、レポートを提出し、複数のバージョンのリソースやテスト環境をメンテナンスし、いつでも質問されたときには回答し、情報を共有できなければなりません。これらすべての要素や知識を把握しておくには、作業を高いレベルで計画し、構造化する必要があります。
また、並行する複数のリリースやアップデート、異なるビルドのテストとタスクを管理し、完了したタスクを次に送り、すべてのアクティビティをデイリーのスタンドアップミーティングで報告できるよう把握していなければなりません。これらすべての負担は、計画をたてて、几帳面に管理していなければ、手に負える範囲をたやすく超えてしまいます。
もとから几帳面で、乱雑なところがない性格の人であれば簡単ですが、そうでない人にとっては日々努力するか後天的なスキルとして獲得する必要があるかもしれません。この特性を伸ばすには、頻繁にチェックリストを作るようにすることから始めるとよいかもしれません。フォルダー構造を改善し、ファイルにわかりやすい名前を付けて異なるバージョンやリソースを管理します。また、マインドマップで考えやアイデアをまとめ、タスクボードでタスクを管理するなど、ツールを使うこともできます。PCのデスクトップや作業机をいつもきれいにしておくと、思考もきちんと整理された状態を保つのに役立つでしょう。
Nishiは企業トレーナー、アジャイルの信奉者、そして根っからのテスターです。業界で11年以上の経験を持ち、現在はSahi Proでエバンジェリスト兼トレーニングヘッドとして働いています。トレーニングに情熱を注ぎ、テストコミュニティイベントやミートアップを主催したり、多数のテストイベントやカンファレンスで講演を行っています。アジャイルおよびテスト分野での最近のトピックを取り上げたブログをご覧ください。
(この記事は、開発元Gurock社の Blog 「Four Natural Personality Traits That Make a Great Tester」2020年1月30日の翻訳記事です。)