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ソフトウェアテスト改善に向けたQAのベストプラクティス

Shreya Bose著

ソフトウェアリリースの品質を確保するにあたって、テストはきわめて重要です。にもかかわらず、品質保証(QA)プロセスの品質は見落とされがちです。合理的なQAプロセスはより多くのバグを検出できるだけでなく、ユーザーの期待に沿った優れたソフトウェアを作り出すのに役立ちます。

QAの基礎: 基本を正しく理解する

最も重要なテストについて説明する前に、2つの基本的なアプローチを確認しておきます。

ブラックボックステスト

ブラックボックステストは、テスターがソフトウェアの内部構造や設計を知らない状態でテストするというテスト手法です。このアプローチは、単体テスト、統合テスト、システムテスト、受け入れテストなど、あらゆる形のテストに適用できます。

ホワイトボックステスト

ホワイトボックステストは、テスターがテスト対象のソフトウェアの内部的構造を知った状態で行うテストのやり方です。以下のような理由から、手動テスト、統合テスト、システムテストに最も適しています。

次に、現在の開発環境において、ほぼすべてのテストパイプラインで行われるテストの形式について説明します。 

要件に対するテスト

要件に対するテストはソフトウェアテストの重要な側面です。要件に対してテストすることで、開発中のソフトウェアが特定の要件を満たし、意図したとおりに動作していることを確認できます。このプロセスには以下が含まれます。

  1. 要件分析: 仕様書に記述されたソフトウェアの要件を理解し、明確化します。
  2. 要件トレーサビリティ: 実装された機能と特定の要件の間に明確なリンクを確立し、見落としがないようにします。
  3. 検証テスト: 各要件が正しく実装され、意図したとおり動作していることをチェックします。
  4. 妥当性確認テスト: 実装された機能が要件に定義されたとおり、ユーザーのニーズと期待を満たしていることを確認します。

要件に対するテストには、さまざまな種類のテストが関係します(機能テスト、受け入れテスト、ユーザビリティテストなど)。これらのテストによって、ソフトウェアが特定の条件に合致していることを検証します。最終製品が意図された目標を達成し、ユーザーニーズを満たしていると確認することが不可欠です。

単体テスト

開発者は、コードの一部を完成させたら、単体テストを行います。単体テストでは、単一の機能を定義する単一のコード断片をチェックします。

単体テストは新しいコードが作成されるたびに実行されます。コードは隔離された状態でテストされ、その後アプリケーションのコードベースに統合されます。つまり、すべてのコードはマージの前に予備的なテストを通過しているということです。単体テストはプログラム的にコードをテストする方法であり、一般的には手動で行われることはありません。アジャイルおよびDevOpsプロセスの中で自動化されるのが通常です。

システムテストおよびシステム統合テスト

すべての個々のソフトウェアコンポーネントが組み合わされ、1つの完全な単位としてテストされます。各部分の機能は単体テストでテストできますが、まとまった時にどのように動作するかはまた別の問題です。そのために統合テストが存在します。

統合テストは手動でも自動でも行うことができますが、実施の容易さやスピードという利点から、CI/CDパイプラインでは自動化されます。

システムテストおよびシステム統合テストは、テストプロセスの特定の面にフォーカスした複数のサブカテゴリを含みます。一般的なサブカテゴリには以下のようなものがあります。

レグレッションテスト

レグレッションテストは、変更の意図しない影響をチェックすることでシステムの完全性を維持し、すでに検証済みの機能に影響がないことを保証します。

影響を与える可能性がある変更には、バグ修正、機能拡張、基盤のアップデートなどがあります。どんな変更であっても、既存の機能を壊していないことをレグレッションテストによって確認します。

レグレッションテストは、手動で実施すると膨大なリソースを消費するため、ほとんどの場合に自動化されます。

スモークテスト

開発およびテストパイプラインのすべてのステージで、ソフトウェアが安定しており、さらにテストを受ける準備ができていることを確認するためにスモークテストが行われます。

スモークテストは、基本的なチェックによって重要なコンポーネントが期待されたとおり動作していることを確認し、ビルドがより徹底したテストを受ける準備ができているかをすばやく示す指標になります。 

ソフトウェアがスモークテストに合格した場合、開始点として安定していることを示しています。スモークテストが失敗した場合、ただちに調査するべき重大な問題が検出されたことを意味します。

システムテスト

名前が示すように、システムテストはシステム全体をスキャンし、事前に定義された要件と比較してソフトウェアシステムの有効性を判断します。

このテストフェーズでは、以下のような疑問に答えることができます。 

ユーザー受け入れテスト(UAT)

受け入れテストはテストの最終フェーズであり、エンドユーザーがソフトウェアを評価し、ソフトウェアがユーザーの要件を満たし、実際のシナリオで意図されたとおり動作していることを確認します。受け入れテストはソフトウェアがビジネスニーズやユーザーの期待に沿っているか、また運用環境への配備の準備ができているかを検証します。 

UATは、ソフトウェアが受け入れられ、実際の環境でエンドユーザーが利用できる状態にあることを保証し、リリースの前の最終的な確認になります。

QAのベストプラクティス

QAのベストプラクティスとして以下のようなものが挙げられます。

手動テストと自動テストのバランスを取る

テストパイプラインを有効なものにするには、手動テストと自動テストを組み合わせる必要があります。フィーチャーや機能、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)のフェーズに応じて手動テストまたは自動テストを割り当てます。

手動テストによって、人間の評価と監督が保証されます。これはどんなソフトウェアにとっても、現実世界で成功するのに欠かせません。自動テストは高速でヒューマンエラーがないため、反復的なユーザーアクションを必要とするテストに最適です。

原則として、自動化できない理由がなければ、テストを自動化するべきです。手動テストは、UXがシームレスに「感じられる」かの検証など、明らかに人間の判断を必要とするテストだけに集中させます。

通常、探索テスト、ユーザビリティテスト、アドホックテストは手動で行われます。レグレッションテスト、負荷テスト、その他のパフォーマンステストは自動化されます。

業界にかかわらず、パイプラインのできるだけ多くの部分を自動化し、本質的な検証作業だけをQAテスターにまかせることがベストプラクティスです。 

アジャイルテスト手法を選択する

アジャイル開発およびテスト(この2つは実際には相互に関連する1つのプロセスです)は、現代のソフトウェア開発にとって最適な手法であることが実証されています。

アジャイルはスプリントと呼ばれる複数の短いサイクルにコーディングおよびテストを分割します。これは、バグを早期に捕捉し、タイトなスケジュールでソフトウェアをリリースするのに役立ちます。 

また、アジャイルパイプラインはモバイルアプリの構築に特に有効です。アジャイルパイプラインはすばやい反復、ユーザー重視の開発、変更への柔軟な対応を可能にするため、モバイルアプリの開発に非常に有効であることが実証されています。アジャイル手法では、機能横断的コラボレーションが重視されるため、モバイルアプリがUI/UX設計、デバイスの互換性、パフォーマンスの最適化など、さまざまな面に対応していることを確認できます。 

アジャイル手法は市場への投入までの時間を短くするだけでなく、高い機能性、品質、すばやいアップデートを確実にします。

アジャイルテストはQAアクティビティを設計および開発にシームレスに統合します。これは、すべての開発の最後にテストが来るウォーターフォール手法とはまさに正反対です。アジャイルは基本的なベンチマークとして品質を利用し、各スプリントの最後にテストを行います。

アジャイルは開発、QA、プロダクトオーナー、ステークホルダーの間のコラボレーションを促進します。プロジェクトに関わるすべての人が常に同じゴールとプロセスを共有し、よりよい結果を生み出します。

アジャイルでは、すみやかなデリバリーに自動化が欠かせません。自動テストは重要な役割を果たすいっぽう、手動テストを補完するべきです。このようなアプローチは手作業を最小限にし、自動化の効率と重要な領域での人間の判断のバランスを保証します。

テストを多様化する

多様なタイプのテストを実施すると、より広い範囲のシナリオおよび機能をカバーできます。このような包括的なアプローチは、他の方法では気づかれずに見過ごされがちな問題を検出できる可能性を高めます。 

各テストタイプはソフトウェアの異なる側面をターゲットとし、異なるコンテキストおよびシナリオでバグを発見します。最終的に、徹底した検証はさまざまな潜在的問題の発見と対処に役立ち、テスト対象システムの全体的な品質を向上させます。

多様なテストを実施し、システム全体からより多くのバグを発見するためのプラクティスとして次のようなものが挙げられます。

適切なQAメトリクスを使用する

適切なメトリクスやKPIを設定していなければ、QAプロセスの成功および失敗率を正確に計測することはできません。これには、基本的なメトリクスだけでなく、特定のQAワークフローや業界に適用されるメトリクスも含まれます。 

QAメトリクスは、テストプロセスを追跡して改善したり、次のような疑問に具体的な答えを出したりするのに必要なデータや洞察を提供します。

不可欠のQAメトリクスの例として次のようなものが挙げられます。

新しい製品リリースの品質やアプリケーションの健全性、その他あらゆるものを評価するのに適切なQAメトリクスを選択する方法については、ソフトウェアテストのQAメトリクスを参照してください。 

優れたテストケースの作成に注力する

テスターによるテストケースの作成を社内の開発者に支援させることには、利点と欠点の両方があります。

利点としては、開発者がテストケースの作成に携わることで、テストプロセスへの開発者の関与が大きくなります。それによってチーム間のコラボレーションが促進され、開発者が品質保証(QA)の視点をよりよく理解できるようになります。 

しかし、このアプローチには欠点もあります。開発者が無意識のうちにテストケースにバイアスを導入し、全体的な品質標準を満たさないテストにつながる可能性があります。

そのため、テストケースを作成する際は以下のプラクティスに従います。

TestRailなどのテストケース管理ツールを使用して、事前条件、テスト手順、期待される結果、実際の結果など、テストケースに関するあらゆることを記録することを検討します。

定期的な自己評価を行う

評価には外部レビューアーを関与させることが推奨されますが、外部レビューが不可能な場合は、まったくレビューをしないのに比べれば、内部レビューを実施するだけでもメリットがあります。 

プロジェクトマネージャー、プロダクトオーナー、チームリーダー、COOなどの重要なステークホルダーは、専門のレビューチームを関与させることを検討するとよいでしょう。レビューチームは標準への準拠、全体的なコード品質、QAパイプラインの有効性を評価し、貴重な洞察や推奨事項を提示できます。

レビューによって次のような重要な要素の状態を評価します。

レビューによって、高品質を最終的な目的とする最適化と改善のための新しいアイデアが生まれます。これは開発者とテスターの両方にとってメリットがあります。

すべてを文書化する

バグレポートには明確なバグ再現手順および実際の結果と期待される結果の対比を含める必要があります。また、テストデータおよび依存関係を明確にするのに加えて、テスト環境の詳細を記載します。

すべてのバグを監視し、記録するバグの性質、影響を受ける機能、バグを引き起こすユーザーアクションなどを記録します。同じバグが別のプロジェクトや同一プロジェクトの別の段階で現れることは珍しくありません。バグを文書化しておくと、バグが以前に起こったことがないかをチェックし、確立された解決策に従うことができます。

バグを追跡する最も簡単な方法は、Jiraなどのバグ追跡システムと統合するテストケース管理ツールを利用することです。

画像: TestRailとJiraを統合し、QAと開発チームの間の可視性を高め、毎回、テストする必要があるものがすべてテストされるようにします。

クラウドテストを試す

クラウドテストでは、グローバルなテスターのコミュニティにテストが分散されます。多様な視点を活用してテストスクリプトを評価するという非常に革新的で効果的な方法です。

以下のような理由から、クラウドテストの有効性が確認されています。

結びつきの強い協力的なチームを維持する

アジャイル開発およびテストはチーム間のシームレスなコラボレーションを必要とします。テスターと開発者の協働関係が重要です。偏見やわだかまりはスムーズな作業を妨げるだけでなく、製品の品質を低下させます。

複数のテスター、開発者、マネージャーが設計、構築、テスト、管理に関わることで、プロジェクトが成功します。そのため、目標、技術、成功の定義について共通の認識を持つことが、プロジェクトにかかわる全員にとって重要です。

そのためのよい方法がレトロスペクティブの活用です。毎週または毎月レトロスペクティブを開催し、最近の作業を振り返り、得られた教訓や可能性を議論し、懸念を表明します。問題が発生したらすぐに対処することで、マネージャーは問題がソフトウェアの品質に影響を与えるのを防ぐことができます。

QAプロセスを最適化するテスト管理ツールを選択する

ソフトウェアが複雑になるにつれて、さまざまな環境や構成で達成する必要がある機能ベンチマークの数が増えていきます。

ソフトウェアをテストするQAプロセスもより複雑になります。実行すべきテストが増え、検証すべき機能が増え、記録すべきデータが増えるいっぽうで、QAパイプラインはより厳しく管理され、改善され、計測可能で反復可能でなければなりません。

TestRailなどのテスト管理ツールは、QAプロセスの構造化を目的とした多数の機能を提供し、この問題に対処します。TestRailには次のようなQA管理ツールおよび機能が含まれます。

画像: テストアクティビティを一元化することで、テスト資産へのアクセスと管理を容易にし、重複を減らし、テストプロセス全体にわたって一貫性を確保できます。
画像: QA活動の全体像を示すテスト分析およびレポートによってデータ駆動型決定を加速します。

より詳しく知りたい場合は、TestRailの機能を参照するか、今すぐ30日間のTestRail無料トライアルを開始してください。

(この記事は、開発元Gurock社の Blog 「QA Best Practices to Improve Software Testing」2024年2月13日の翻訳記事です。)

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