
Hannah Son著
テスト自動化の仕組みは反復的タスクを合理化し、テストプロセスを加速し、ソフトウェアテストの結果に一貫性と信頼性を保証します。自動化されたテストのレポートは、テストの結果を可視化し、具体的な対応に役立つ洞察を提供するため、チームは情報に基づいて決定を下し、問題を即座に検出し、全体的なソフトウェア品質を効率的に改善できるようになります。
自動テストレポートとは
自動テストレポートは、自動化されたテストケースの実行と結果を詳細に示す包括的な文書です。自動テストレポートは、テストカバレッジ、成功/失敗ステータス、エラーログ、パフォーマンス指標などのさまざまなメトリクスをまとめてわかりやすく表示します。
このレポートはソフトウェアの状態を可視化し、改善が必要な領域をピンポイントで示し、テスト戦略の最適化やソフトウェア品質改善に関わる決定を情報に基づいて行うことを可能にします。
自動テストレポートが重要な理由
自動テストレポートは、テスト実行を明確に可視化し、ステークホルダーにテストカバレッジに関する包括的な見通しを提供します。レポートのデータは情報に基づく意思決定に役立ち、効果的なコミュニケーションを促進するため、テスト戦略の改善のための作業に優先順位を付け、継続的に拡大することが可能になります。究極的には、自動テストレポートは、テスト作業を重要な対象に集中させ、時間を節約し、効果を最大化することで最適化します。
シナリオの検討
E-コマースプラットフォームを運用しているチームがあるとします。ユーザーが購入するたびにさまざまなデバイスやブラウザーで支払いプロセスがシームレスに動作することを保証するため、自動テストが実装されています。
TestRailなどのテスト管理ツールを使用し、定期的に自動テストが実行されるようセットアップされています。テストが実行されると、TestRailは詳細なレポートを生成します。このレポートには、成功したトランザクション数、失敗した支払い、問題が起きたデバイスまたはブラウザー、失敗につながった特定のステップなどの情報が記載されます。
レポートから、たとえばSafariを使用しているモバイルデバイスで常に支払いが失敗するという問題が明らかになります。
この情報によって、チームは問題をより深く調査し、支払いゲートウェイとモバイル上のSafariの互換性の問題が根本原因であることを突き止め、問題の修正に優先順位を付けることができます。
TestRailなどのプラットフォームを利用すると、問題を追跡し、チームメンバーにタスクを割り当て、進捗をモニターすることもできます。問題を修正したら、テストを再実行し、TestRailの履歴データおよびテストケースのバージョン管理機能を使用して改善を追跡します。このようなプロセスを繰り返すことによって、複数のデバイスおよびブラウザーにわたる支払いシステムの信頼性が増します。
自動テストレポートの種類
自動テストレポートはソフトウェアテストにおいて情報に基づく意思決定を支える根幹です。自動テストレポートはテスト結果の包括的な概要を示し、チームがテストの概観を理解してデータに基づく改善を行うことを可能にします。
次の表は、ソフトウェアテストで一般的に利用される自動テストレポートの種類です。
レポート種類 | 目的 | 補足情報 |
サマリーレポート | テスト実行の概要を示します。 | テスト結果に対する概要レベルの洞察。実行、成功、失敗したテストの数 |
詳細テストケースレポート | 個々のテストケースに関する詳細を表示します。 | ステータス(成功/失敗)、実行時間、関連する問題/エラー |
カバレッジレポート | テストのコード/機能カバレッジを表示します。 | コードカバレッジ、要件カバレッジ、または特定の条件などのメトリクス |
トレンド解析レポート | テスト結果のトレンドを表示します。 | 進捗の追跡、パターンの特定、ソフトウェア品質の改善または後退の評価 |
失敗解析レポート | 失敗したテストケースとその詳細に着目します。 | 失敗の原因に関する詳細情報、エラーログ、デバッグ用画面ショット |
実行履歴レポート | テスト実行データの履歴の概要を表示します。 | 過去の実行、結果、テストパフォーマンスの変化/トレンド |
これらのレポートは、テストプロセスのさまざまな側面を評価するうえでそれぞれ異なる目的を果たし、ソフトウェア品質と効率の改善に関して情報に基づく意思決定を行うのを支援します。
自動テストレポートに求められる重要な機能
漏れのない自動テストレポートを作成するには、主要な機能を評価することが重要です。レポートツールを評価する際、以下を検討することが重要です。
1.アクセシビリティ
すべてのステークホルダーに自動テストレポートへのアクセスを確保するため、アクセシビリティは優先されるべき事項です。しっかりしたアクセシビリティ機能を持つツールを利用すると、チームメンバー、開発者、その他の関係者が確実にレポートにアクセスできます。
検討事項:
- オンラインアクセシビリティ: レポートは容易にアクセスでき、特定のソフトウェアをインストールせずに参照できるべきです。
- CI/CDとの統合: 継続的統合および継続的デプロイメント(CI/CD)パイプラインとのシームレスな統合により、テスト実行後に自動的にレポートにアクセスできるようになります。
2.可読性
可読性は効果的な自動テストレポートの基本的な要素です。情報を明瞭かつ簡潔に表示することで、ステークホルダーは確実にテストケースのステータスを理解し、注意が必要な領域を識別できます。
検討事項:
- わかりやすいフォーマット: レポートは、見出し、箇条書き、表などのわかりやすいフォーマットを使用して可読性を上げるべきです。グラフを取り入れると、複雑なデータをよりわかりやすくできます。
3.豊富なデータ
データが豊富なレポートは、テスト実行プロセスに関する詳細な洞察を提供します。幅広いデータによって、パターン、トレンド、潜在的な問題を検出することが可能になり、情報に基づく意思決定の改善に役立ちます。
検討事項:
- 実行時間: 各テストおよびテストスイートの実行にかかった時間は、パフォーマンス解析に必須の情報です。
4.構成
レポートの適切な構成は、チーム内の効果的な情報伝達にとって重要です。メンバーが必要とする情報を発見できるよう支援し、提示された情報量に圧倒されると感じるのを防ぎます。
検討事項:
- 論理的セクション分け: レポートをサマリー、詳細結果、過去のトレンドなどの論理的なセクションに分割します。
- 階層ビュー: ツールはテストスイート、テストケース、およびこれらの依存関係を階層ビューで表示できるべきです。
5.わかりやすい概要の提示
詳細な結果も必要ですが、わかりやすいテストステータスも重要です。概要レベルのサマリーは、ステークホルダーが詳細に立ち入ることなくプロジェクトの状態を把握するのに役立ちます。
検討事項:
- サマリーダッシュボード: 主要メトリクスの概要を示すダッシュボードまたはサマリーセクションを取り入れます。
- トレンド解析: 履歴データおよびトレンド解析機能は時間の経過に伴うプロジェクトの進捗を理解するのに役立ちます。
テストレポートツール
テストレポートツールは、自動テストの結果に関する情報を生成、分類、表示するソフトウェアアプリケーションまたはフレームワークです。テストレポートツールはテスト実行データをまとめてわかりやすいレポートに変換し、テストプロセスの状態および有効性に関する洞察を提供します。
テストレポートツールの利点
テストレポートツールはテスト結果に関する明快な洞察を提供し、トレンドを検出しソフトウェア品質の継続的な改善におけるリソースの生み出す結果を最大化することによって、情報に基づく意思決定およびテスト作業の最適化を支援します。
- 可視性: テスト結果および実行の詳細に関する明快な洞察を提供します。
- 情報に基づく意思決定: 幅広いテストデータに基づいて意思決定を行うのを支援します。
- コミュニケーション: ソフトウェア品質に関するステークホルダー間での効果的なコミュニケーションを容易にします。
- 最適化: トレンドおよび改善可能な領域を識別し、テスト作業の最適化に役立ちます。
- リソース活用の最大化: テストリソースの生み出す影響を最大化し、ソフトウェア品質を強化します。
- 効率性: テストプロセスを合理化し、手作業や潜在的エラーを減らします。
- 継続的改善: 具体的な行動に役立つ洞察と反復的改善によってソフトウェア品質の継続的な強化を促進します。
適切なテストケース管理ツールを選択する方法
以下はテストレポートツールを選択する際に考慮するべき5つの最重要事項です。
- プロジェクトのニーズとの整合性: 必要なレポートの種類、詳細レベル、カスタマイズオプションなど、プロジェクト固有のレポート要件にツールが合致するかどうかを評価します。
- 統合機能: 既存のテスト自動化フレームワーク、継続的統合/デプロイメント(CI/CD)パイプライン、開発ライフサイクルで使用されるその他のツールとツールをシームレスに統合できることを確認します。
- ユーザビリティおよびアクセシビリティ: さまざまな技術知識レベルのチームメンバーが容易にレポートにアクセスし理解できるよう、直感的なインターフェイスを備えたユーザーフレンドリーなツールを選択します。
- スケーラビリティおよび柔軟性: プロジェクトの成長および複雑化に伴ってツールをスケールアップでき、テストニーズの変化やテストスイートの拡大に対処できる柔軟性を備えているかを検討します。
- サポートおよびアップデート: スムーズなエクスペリエンスを確保し、懸念があれば迅速に解決されるよう、ツールのサポートシステム、アップデートの利用可能性、問題や機能リクエストへの対応力を評価します。
一般的なテストレポートツール
次の表は、よく利用されているテストレポートツールをまとめたものです。
テストレポートツール | 説明 |
TestRail | 直感的なインターフェイスとカスタマイズ可能なレポートを備えた人気のテスト管理ツールです。さまざまなテストフレームワークと統合し、ニーズに合わせたレポートを生成できる柔軟性があります。 |
Extent Reports | HTML、PDF、E-mailフォーマットのレポートを提供します。テスト実行の詳細をまとめ、結果の分析に役立ちます。 |
Allure Reports | グラフ付きのレポートを提供し、さまざまなプログラミング言語およびフレームワークに対応してわかりやすく結果を表示します。 |
JUnit | 広く利用されているJavaテストフレームワークであり、レポート機能を備えています。JUnitがXMLベースのレポートを生成し、その後、レポートがビルドプロセスに統合されます。 |
Mochawesome | JavaScriptのテストフレームワークであるMochaに特化したツールです。Mochawesomeは簡潔で美しいテスト結果の表示を重視したHTMLレポートを生成します。 |
TestNG | 基本的なHTML/XMLベースのレポートを提供するJavaテストフレームワークです。さまざまなプラグインとの互換性があり、プロジェクトのニーズに応じてレポート機能を拡張できます。 |
自動テストレポートの主要なメトリクス
レポートメトリクスは、テストプロセスおよび進捗、テスト作業の効率、改善可能な領域に関する定量化された洞察を提供し、情報に基づく意思決定を可能にします。
次の表は、ソフトウェアテストで一般的に利用される10個の主要な自動テストレポートメトリクスです。
メトリクス | 説明 |
テストカバレッジ | テストフレームワークによって評価されるテスト対象システムの機能および非機能領域の定性的測定値です。ユーザーモジュール、ユーザーインターフェイスの特定領域、APIなどが対象に含まれます。 |
成功/失敗率 | テスト実行時に成功または失敗したテストケースのパーセンテージを示します。 |
実行時間 | テストスイートまたは個々のテストケースの実行にかかった時間を測定します。 |
欠陥密度 | コード単位またはテストコードごとに見つかった欠陥の数を計算します。特定のテスト対象システムのソフトウェア品質を定量的に反映します。 |
テストケース成功率 | 実行されたテストの合計のうち成功したテストケースのパーセンテージを測定します。テストの信頼性を表します。 |
コードの複雑度 | テスト対象コードの複雑性を評価します。欠陥の可能性に影響します。 |
レグレッションテストの有効性 | レグレッションテストの新しい欠陥または問題を検出する能力を評価します。 |
エラー/欠陥分布 | 特定のテスト対象システムに含まれる定義済みコンポーネント/モジュールでテストの失敗がどのような頻度または分布で現れるかを識別します。 |
テストメンテナンス作業 | テストスイートのメンテナンスに必要な作業量を定量化します。一定期間にわたるテスト効率および信頼性に影響を与えます。 |
要件カバレッジ | テストケースによってカバーされた要件のパーセンテージを計測します。実装された機能と実行された検証/テスト間のトレーサビリティを確保します。 |
自動テストレポートはソフトウェアテストの中心的存在です。詳細なレポートは情報に基づく意思決定の原動力となり、コミュニケーションを合理化し、ソフトウェア品質を改善します。今すぐTestRailをチェックして、データ駆動型洞察に支えられたアジャイルで品質重視の開発プロセスを可能にする適切なレポートツールを選択してください。
(この記事は、開発元Gurock社の Blog 「How to Report On Test Automation (Tools + Metrics)」2023年12月29日の翻訳記事です。)
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