TestRail活用術:テストケースの品質担保に役立つ「承認」機能

TestRail テストケースの品質担保に役立つ「承認」機能

テストを実行する前に、テストケースを十分にレビューできていますか?
レビュー不足によりテストケースの不備が後工程で発覚し、テストのやり直しが発生するケースも多いのではないでしょうか。

本記事では、テストケースの「承認」機能を活用してレビューの仕組みを作り、テストケースの品質を向上させる具体的な方法をご紹介します。

本記事は以下のような方におすすめです!

  • テストケース内の手順の抜け漏れや古い仕様の混入を防ぎたい方
  • テストケースの再配布によるテストの手戻りを防ぎたい方
  • 準備中のテストケースも含めて、TestRailでテストを一元管理したい方

テストケースの「承認」機能とは?(本記事の要約)

テストケースの「承認」機能を利用すると、TestRail上でテストケースのレビュープロセスを完結できます。テストケースに「設計」「レビュー」「使用可」などのステータスを設定し、承認権限を持つレビュアーを「担当者」に割り当てることで、レビューを依頼できます。

レビューを経て「使用可」となったテストケースのみをテスト対象とすることで、テストケースの品質を担保できます。

テストケースの「承認」機能は、TestRail Enterprise限定の機能です。詳細は、以下のページをご参照ください。

TestRail製品ページ

テストケースのレビューの仕組みにより期待できること

効果1: テスト品質の向上

2つの観点で、品質向上が期待できます。

1. テストケースの不備による不具合発生を防止する

テストケースの作成を、設計者一人で終わらせずにレビュアーが確認するプロセスを入れることで、前提条件や手順の抜け漏れ、古い仕様の混入を事前に見つけて修正することができます。これによりテストケースの品質向上が期待できます。

未完成のテストケースが誤って実行され、「テストは進んだが、ケースの不備が原因で不具合を招いた」といった事態を防止できます。

2. 承認履歴の可視化により追跡性を向上させる

誰がいつ承認したのかという履歴が残るため、レビューを経たケースであることを後から確認でき、監査や説明責任の面でも安心です。

効果2: 承認フローによる手戻りの防止

2つの観点で、承認フローによる手戻りを防げます。

1. テストケースが未完成の状態でテスト実施されるのを防止する

「承認」機能を利用すると、テストケースが承認済みでなければテストを実行できないように制御できます。そのため、承認済みのテストケースのみを用いたテスト実行が可能です。テスト開始後に「ケースに不備が見つかったのでテストはやり直し」という手戻りを大幅に減らせます。

2. テストケースが承認済みになったら自動でテスト対象となる

テストラン(実施するテストのまとまり)作成後にテストケースが承認された場合でも、承認済みのテストケースをテストランに自動反映できるため、新たに承認されたテストケースをテスターに再配布する手間を省けます。結果として、現場のテストの流れを止めずに品質を高めることができます。

効果3: テストケースの一元管理の徹底

テストケースは誤ってテスト実施されることを避けるため、作成途中の場合はローカル環境で管理しがちです。「承認」機能を利用することでテストケースを作成中の段階からTestRail上で管理することができ、作成から承認、実行までをTestRail上で完結できます。

これにより、「どのテストケースが最新版で、テスト可能な状態なのか分からない」といった混乱を防ぎ、すべてをTestRail上で一元管理できます。

テストケースの「承認」機能の使い方

「承認」機能の使い方を、以下の流れで説明します。

  1. 事前準備
  2. 設計者によるテストケースの作成とレビュー依頼
  3. レビュアーによるテストケースのレビューと承認
  4. テストマネージャー/リーダーによる承認済みテストケースの選定

1. 事前準備

テストケースのステータスの用意

あらかじめ以下の3つの「ケースのステータス」が用意されています。

設計デフォルト値。まだ設計中のためテスト対象にはできないことを示す。
レビュー設計が終わり、承認のためのレビュー中であることを示す。
使用可承認済みで、このテストケースを使ってテストができることを示す。

他のステータスを利用したい場合は、[管理] > [カスタマイズ] > [ケースのステータス] より、任意のステータスを追加できます。

「承認」機能の有効化

「承認」機能はプロジェクト単位で有効/無効を設定できます。プロジェクトの追加・編集画面で「テスト ケース承認の有効化」をオンにすると有効になります。

TestRailのプロジェクトの設定画面の「テスト ケース承認の有効化」の設定箇所

2. 設計者によるテストケースの作成とレビュー依頼

承認機能が有効な場合、テストケースを作成すると「設計」などデフォルトのステータスが設定されます。テストケースの設計者は、通常通りテストケースを作成してレビューの依頼が可能な状態になったら、「ステータス」を「レビュー」に変更し、「担当者」にレビュアー(レビュー依頼先ユーザー)を設定します。

TestRailのテストケース編集画面でステータスと担当者を設定

3. レビュアーによるテストケースのレビューと承認

レビュアーは、自分が担当になっているテストケースを確認し、レビューして修正依頼をするか、指摘がなければ「使用可」ステータスに変更します。以下の方法で、レビュー対象のテストケースを確認できます。

メール通知から確認する

テストケースの「担当者」が自分に設定されると、メールが届きます。メールに記載されたURLから該当のテストケースにアクセスします。メール通知によりレビュー依頼の見落としを防ぎます。

TODO画面から確認する

TODO」画面の「テストケース」タブに、自分が担当のテストケースが一覧表示されます。コメントがある場合はコメントの数が表示され、コメント数が表示され、吹き出しアイコンのクリックで内容を確認できます。

TestRailのTODO画面にレビュー対象のテストケースが表示されている

下の図のように、レビュー対象のテストケースの「詳細」画面にアクセスし、レビューします。指摘がある場合は、「ステータス」を「設計」に戻し、「担当者」を設計者に変更して、レビューコメント(指摘内容)を記載します。

TestRailのテストケースの詳細画面でレビューコメントを記録

設計者によりテストケースが修正され、「担当者」が再び自分に設定されたら、期待通りに修正されたか確認します。確認時は、テストケースの「履歴」画面で「比較対象」を選択すると差分確認が容易です。

TestRailのテストケースの履歴画面で比較対象を選択

下の図のように、修正前のテストケースと修正後のテストケースを左右に並べて比較できます。差分のみ赤字で表示されるため、修正箇所が一目で分かり、レビューしやすくなります。
※このテストケースのバージョン管理」機能も「承認」機能と同様に、TestRail Enterpriseのみで利用できます。

TestRailのテストケースの履歴画面で差分を比較

テストケースの修正を確認できたら、「ステータス」を「使用可」に変更します。「テストケースの承認」権限を持つユーザーのみ、「使用可」などの承認済みステータスへ変更できます。権限のないユーザーは「使用可」ステータスに変更することができないため、レビュアー以外が誤ってテストケースを承認してしまうことはありません。

TestRailのテストケースの詳細画面でステータスを「使用可」にしてレビューを完了

「使用可」ステータスへの変更により、レビューが完了しテストケースが利用可能な状態になりました。下の図のように、テストケースの「履歴」画面より、テストケースがレビューにより承認されたことを確認できます。

TestRailのテストケースの履歴画面

4. テストマネージャー/リーダーによる承認済みテストケースの選定

TestRailでは、テストを実施する際に、目的に応じてテスト対象に含めるテストケースを選定してテストラン(実施するテストのまとまり)を作成します。テストケースを選定する方法は3つあります。

TestRailのテストラン作成画面の選択肢

テストケースの選定について、詳しくは以下のページをご参照ください。

承認機能が有効な場合は、それぞれの選択肢で以下のように選定されます。

「すべてのテストケースを選択」を選んだ場合

すべてのテストケースの中から「使用可」など、承認済みのステータスのテストケースのみが選択されます。「設計」、「レビュー」など、承認前のステータスのテストケースはテストランには含まれません。未完成のテストケースがテスト対象に含まれることを防ぎます。

「特定のテストケースを選択」を選んだ場合

「ステータス:使用可」のように、テストケースをフィルタリングして承認済みのテストケースのみテスト対象にします。テストランの作成時点のステータスに一致したテストケースのみテストランに含まれます。

TestRailのテストラン作成画面で「特定のテストケースを選択」した画面

「動的フィルタリング」を選んだ場合

「特定のテストケースを選択」と同じように、テストケースをフィルタリングします。「動的フィルタリング」の場合は、テストランの作成後に、フィルタリング条件に一致するテストケースが追加されたり、テストケースを変更してフィルタリング条件から外れた場合、テストランに自動で反映されます。

例えば、下の図では、「使用可」ステータスのテストケースが2つあります。

TestRailのテストケースの一覧画面

「動的フィルタリング」を利用し、「使用可」ステータスのみを選択してテストランを作成すると、2件のテストケースが選定されます。

TestRailのテストラン画面

その後、テストケースのレビューが終わり、ステータスが「使用可」になると、自動で承認済みのテストケースが追加されます。

TestRailのテストラン画面に動的フィルタリングによりテストが追加されている

このように、テストランの作成後に承認されたテストケースも、テストランに自動追加されるため、新たに完成したテストケースを担当者に再配布する必要がなく、承認済みのテストケースのみを使ってスムーズにテストを進めることができます。

すべてのテストケースの完成を待たずに、完成したテストケースを使ってテストを先に進めながら、順次承認済みのテストケースをテスト対象にすることができます。

まとめ

本記事は、TestRailの「承認」機能を用いてレビュー体制を整えることで、テスト品質向上承認フローによる手戻りの防止テストケースの一元管理の徹底を実現できることを説明しました。

「承認」機能を活用すると、テストに関わるメンバーは以下のメリットを享受できます。

  • テストケースの設計者
    • テストケースのステータスと担当者の変更により、簡単にレビューを依頼できる
    • 作成中のテストケースもTestRail上で管理することで、ローカル管理によるテストケースの分散を避けられる
    • 新たに承認されたテストケースをテスターに再配布する手間を省ける
  • レビュアー
    • メール通知やTODO画面の一覧より、レビュー対象のテストケースを簡単に把握できる
    • テストケースのステータスと担当者の変更、コメントのやり取りにより、TestRail上でレビューを完結できる
  • テストマネージャー/リーダー
    • 承認済みのテストケースのみテスト対象に含めてテストを進行できる

ぜひ活用をご検討ください。

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