この記事はJim Holmesによるゲスト投稿です。
職場でのスピーチのメリット
私たちが職場で能力を発揮できるかどうかは、周囲の人たちにどれだけうまくメッセージを伝えられるかにかかっています。人間関係の中でコミュニケーションを取るのはただでさえ大変ですが、アイデアが整理されていなかったり、コンセプトにぶれがあって冗長だったり、伝え方が明瞭でなかったりためらいがちだったりすると、さらにコミュニケーションが難しくなります。
いくらかスピーチの基礎を学ぶと、職場での変化に影響を与える能力に寄与するところが大です。そのようなスキルを身に着けるのに、2,200人が参加するカンファレンスの基調講演で聴衆を圧倒する必要はありません。効果的なスピーチの基礎は、ほかにもさまざまな方法で学び、実践することができます。
どのような方法でスピーチのスキルを向上させたとしても、誰でも重要な分野で結果を出すことができます。
説得
私たちが職場で行うことの多くは、効果的な説得を中心に動いています。日常的なタスクで開発者とテスターをペアにするために同僚を説得する必要にせまられることはありませんか?開発作業と同じスプリントでテスト活動を完了できれば、製品の品質は劇的に向上するということをマネージャーに示すのに苦労してはいませんか?すべての作業項目を一貫したデリバリー基準で進められるよう、組織を動かして、プロジェクトの「完了と受け入れ手順の定義」を作成しようとしている最中ではありませんか?
説得は、キャリアで成功を収めるのに欠かせない要素です。スピーチのスキルを伸ばすことは、同僚に伝えようとするメッセージをより効果的なものにするのに役立ちます。
スピーチの成功は、多くの場合、人数の多寡にかかわらず聴衆の心を掴んで自分の見解に同意させられるかにかかっています。優れたスピーカーになるには、説得スキルを磨くことも必要です。聴衆や他のスピーカー、あるいはイベント主催者からのフィードバックは、論理立てて話す能力を大いに高める助けになります。
記事では、この後、効果的なメッセージは簡潔性が肝要だという話をしますが、そのほかにもいくつかの簡単なスピーチの基本を押さえると大きな違いがあります。しかも、それらの基本を学ぶのは比較的簡単です。
すっきりとして形式が整い、配置の良いプレゼンテーションを作成する方法を学ぶのも、メッセージを伝える能力をてっとりばやく向上させる方法の1つです。つらい「パワポ死」を脱却し、「Beyond Bulletpoints」や「プレゼンテーションZen」、その他類似のリソースからさまざまなスタイルを採用することも、それほど難しくはありません――重要なのは、詰め込みすぎのコンテンツにビジュアルを満載するのをやめ、スライドではなくあなたに聴衆の注目を集めることです。
すばらしいプレゼンテーションには、それがマネージャーへの5分間のピッチであれ、チーム向けのランチワークショップであれ、例外なく適切なフローがあります。つまり、明快な出だし、意味のあるメッセージ本論、確固とした結びです。流れを構築し、洗練させる方法は実践を通じて理解するものであり、これもまたさまざまなスピーチ活動によって身に着け、磨きをかけることができます。
これら容易に学習可能な基本は、すべて説得力を格段に増すのに役立ち、しかも簡単なスピーチ活動を通じて学習し、磨きをかけることができます。
簡潔性
聴衆を説得するには、提示しようとするメッセージが何であれ、メッセージを純化する必要があります。これまで経験した最悪のミーティングまたはプレゼンテーションを思い出してください。スピーカーは1つのメッセージをひたすらひきのばすだけで、たしかに重要なメッセージかもしれませんが、基礎的なことを8回も繰り返された後では、要旨が失われてしまったのではないでしょうか。
通常、小規模なミートアップで5人の参加者に話す場合でも、大きなカンファレンスで100人に対して発表を行う場合でも、スピーチには何らかの時間の制約があるものです。そういった時間の制約は、最初は怖く感じられるかもしれませんが、割り当てられた時間に収まるよう強制的にメッセージを削ぎ落とすことになるので、結局はありがたいものだとわかるでしょう。
優れたスピーカーは、普通、ブレークアウトセッション(45分から60分)の参加者が最後まで覚えていられる重要なポイントは数点だけ――たいていは多くて3点だということを知っています。少なすぎると思うかもしれませんが、メッセージの重要な部分を最も肝心な所だけに刈り込むとき、簡潔性がどれほど大事かはすぐにわかるでしょう。
自信
私の考えでは、スピーチを経験したことで得られた最も重要なメリットは、同僚・上司・顧客など、相手の地位にかかわらずプレゼンを行う自信です。
私自身も含めてそれは大勢が、ほんのささやかなスピーチを行う機会でさえ見送った経験があるでしょう。「わたしはあがり症なんです。人前に立つなんてとても無理です!」スピーカーの圧倒的多数は、いろいろな形で「あがり」と戦っています。アメリカの有名な映画・舞台俳優であり、巧みな演技で多数の有力な賞を受賞したヘンリー・フォンダでさえ、ブロードウェイでの公演が始まる前に緊張するのは変わらなかったと言います――それも80歳になり、それまで何十年もの間、アメリカの最も評価され成功した俳優の1人であっても、なおそうだったのです。
あがりに対処する方法を学ぶには、練習と実用的スキルの組み合わせが役に立ちます。練習というのは、単に何度かやり通して、自分ではどんなにひどく失敗したと思っても、舞台上で聴衆を前にその場で死んだりはしないということを学ぶだけです。実用的アドバイスは、他のスピーカーからだんだんに学んでゆくものですが、たとえば聴衆の中から反応が良い何人かに注目するだとか、聴衆に対する盾のように、常に演台を自分の前にキープする一方で、演台にしがみついたりしないといった単純なことかもしれません。
たとえ少人数のグループでも人前に立って、一貫したインパクトのあるメッセージを伝えたという経験がもたらす自信は絶大であるといえます。気おくれやあがりに対処し、やり通すことを学ぶのは、誰もが身に着けられるスキルです――ヘンリー・フォンダでさえも。
スピーチを始める
繰り返しますが、私がこの記事で提案していることを実践するのに、TEDx talkや大きなソフトウェアカンファレンスの基調講演で何百人の前に立つ必要はありません。すべて、協力的で安心な環境で学べる小規模なイベントで身につけ、磨くことのできるスキルです。
私はお近くのToastmasters Internationalの支部を探してみることを強くお勧めします。Toastmastersは、スピーチのスキルを養うすばらしい機会を提供してくれます――まさにそれをミッションとする組織なのです。他のToastmasterメンバーは信じられないほど協力的です。結局、だからこそその人たちもToastmasterに参加したのですから。
地域のミートアップやユーザーグループはたびたび同様の機会を提供していますし、ライトニングトークなどのもっと短いスピーチの機会も定期的に提供しています。
新参者にスピーチの枠を提供するカンファレンスも増えています。ThatConferenceなどのカンファレンスは、さらにアブストラクトの作成やトークの準備の支援までしてくれます。
やってみよう
さまざな理由から、スピーチのスキルは非常に有益です。職場での直接的なメリットが見過ごされていることが多々あります。スピーチのスキル向上にいくらか時間を割いてみてください。きっと結果に驚くことでしょう。
JimはPillar Technologyのエグゼクティブコンサルタントとして、さまざまな組織のソフトウェアデリバリープロセスの改善を支援しています。Guidepost Systems のオーナー/運営者でもあり、課題に取り組んでいる組織と直接的に関わっています。1982年にアメリカ空軍に入職して以来、IT業界のさまざまな領域での経験があります。長年にわたってチームや顧客がすばらしいシステムをリリースできるよう支援してきたほか、LAN/WANおよびサーバー管理業務にも携わりました。新興企業からFortune 10企業まで、幅広い組織に協力し、デリバリープロセスを改善して顧客によりよい価値を届けられるようサポートしてきました。プライベートでは、キッチンでワイングラスを手にしていたり、Xboxをプレイしたり、家族とハイキングを楽しんだり、ギターを練習しようとしてガレージに追いやられたりしています。
(この記事は、開発元Gurock社の Blog 「Three Job Benefits of Better Speaking Skills」2019年6月18日の翻訳記事です。)