この記事はDee Ann Pizzicaによるゲスト投稿です。
キャリアのあらゆるステージで、自分自身の支持者になる心構えが必要です。他人が自発的にあなたの努力や能力を認めてくれるのを期待していては、どんな組織でも普通に起こる混乱の中で見過ごされるリスクを冒すことになります。
最も関心がある分野で輝くポジションにつけるよう、自分の強みと提供できる価値に自信を持って、自分のキャリアの手綱を自分で握りましょう。
成果を定期的に文書化することが重要です。業績のリストがあれば、現在のポジションでのあなたの価値について自信をもって話すことができ、次の仕事のための面接でも役に立ちます。自分の仕事の速度を見積もる方法を学ぶことから、不要なタスクを断ることまで、すべては自身の強みを知り、目標を見失わないことから始まります。
自分の価値を文書化する
毎週の目標と成果のリストを維持します。このリストを定期的に上司とシェアします。リストを常に最新の状態に保つのを怠らないようにしましょう。
短期的には、リストは簡単なステータスチェックとして機能し、チームでのあなたの仕事が上司によく見えるようにします。リストを維持しつづけると、将来的にさまざまな方法で役に立つでしょう。
現在の仕事での活用
プロジェクトに関わるたびに、会社に貢献する機会が与えられます。完了までに数週間、あるいは数か月かかるプロジェクトもありますが、その間も 目標と成果のリスト に少しずつ改善を重ねていきます。
週末ごとに、次の3つの列があるリストを作成します: 今週の成果、次週に完了したいこと、さまたげとなる潜在的な障壁。任意のツールでこれを記録できますが、単なるメモ帳でもじゅうぶんです。
毎週、着手したものとはだいぶ異なる目標を達成していることに気付くかもしれません。これは、集中を維持できていたかを振り返る機会になります。優先度が変わることによって、あなたの、さらにはチーム全体の気が逸れたり、手いっぱいになったりすることがありますが、そのようなパターンを認識するのが状況を変えるための最初の一歩です。うまくいけば、何週間も正確に集中し続け、目標をすべて達成できるかもしれません。
このリストの更新を維持し、上司と共有することを推奨します。簡単な方法としては、共有のドキュメント、スプレッドシート、あるいはパワーポイントです。これは、1on1のときに上司と共有できます。ミーティングのたびに詳細を掘り下げる必要はありませんが、少なくとも月1回は重要な点を振り返りましょう。
このドキュメントは、あなたがどれほどよくやっているかを分かりやすく示すものです。最高に優秀なマネージャーでも、チームのメンバーがしていることをすべて追うことはできないので、これは重要です。成功を偶然にゆだねないようにします。以前は、私も自分の成果を文書にすることにためらいがありました。成果自体に語らせたいと思い、自慢しているように見えるのを避けていました。ことさら賞賛を求めたくはないという気持ちと、かけがえのない貢献者として認められたいという気持ちの間で揺れていました。
しかし、業績を見えるようにすることは重要です。たとえば、メンター制度がある場合、制度自体は知識の共有やモチベーションと言う点で重要ですが、時間もとられます。メンターとしてチームの経験の少ないメンバーを助けるいっぽうで、自分のタスクを完了する時間がそれほどないかもしれません。作成したコードの行数や修正したバグの数で生産性を測る上司を持った場合、チームメイトと同じだけの価値を貢献しているとはみなされない可能性があります。メンティーの立場では、新たに獲得したどんなスキルも注目すべきものであり、成長と価値の増大を表します。
企業によっては、昇給やボーナスという点でリソースに制約があり、メンバーは年に1回しか評価されないことも多くあります。どんなにあなたの上司の心がけがよかったとしても、ペースの速いソフトウェア企業では、あなたの仕事は最近のプロジェクトしか記憶されていないかもしれません。1年は長いので、折に触れて記憶を新たにできるようリストを維持しましょう。あなたの上司はあなたの努力をチームの他のメンバーと比較しており、リソースを求めて部門内の他のマネージャーと競争しているだろうということを心に留めてください。準備を整えておくのは、あなたにできる最大限のことです。
ある程度長く現在の役職にいる人が考えるべきことがもう1つあります。あなたを採用したのとは違うマネージャーが上司になったらどうしますか?現在の上司と率直な会話をしてあなたの強みや興味について話をしていますか?学びたいことについてはどうでしょうか?現在の上司と元上司の間で何らかの引継ぎが行われているとは期待しないことです。あなたがどれほどコミュニケーションに積極的で、どれほど成長を望んでいるか、またチームのために何ができるかを率直に伝えるようにします。
次の仕事のための活用
テック業界で働いていると、いろいろな変化があり得ます。買収、レイオフ、転職はありふれた出来事です。いざ転職するとなったとき、多くの人が一番嫌がるタスクは履歴書を更新することですが、それほど嫌がらずに済ませることも可能です。過去の自分が将来の自分の助けになるよう、仕事で成し遂げた素晴らしい成果のリストを維持してくれていたらと想像してみてください。過去の自分が思慮深く綿密だったことに感謝するのは間違いないでしょう。
忘れないでください。あなたの一番の支持者はあなた自身です。あなたはあなたが提供する価値について話す方法を知り、実践する必要があります。転職の面接であなたの強みは何かと質問されたことは何回ありますか?これはじゅうぶん考えておく価値のある場面です。自分の仕事についてよく知っているほど、この質問に自信を持って答えられるでしょう。
採用に臨むマネージャーが好んでする質問は他にもあります。たとえば、「あなたの仕事が違いを生んだ経験について教えてください」。プロジェクトの最中に、あなたは自分の貢献が周囲の皆のために違いを生んでいると確信しているでしょう。それでも、いざというときには、具体的な例であなたの価値を説明するよう迫られます。目標と成果のリストから履歴書を更新していれば、箇条書きのあらゆる項目に語るべき背景とストーリーがあるでしょう。大きなものから小さなものまで、あなたには豊富な成功の宝があり、そこから選ぶことができます。
見積精度の改善
あなたの価値を知るもう1つの方法は、あなたが実際に何をできるか、またどのように作業を見積もるかについて現実的に認識することです。いまや1週間に成し遂げようと計画したことと実際の成果のリストがあるので、個人の作業速度についてより明確に把握できるでしょう。これは力になります。いつもどおりの週だけでなく、超人的な数のタスクをこなすような素晴らしく生産性の高い週に成し遂げたこともすべて確認できます。
この情報を無駄にしないようにしましょう。過去に成し遂げたことを将来の予測に使います。勘ではなくデータによって注力するタスクを精査できます。目標と成果、また行く手にある障害に率直に向かい合うなら、進捗を遅らせるよくある罠を認識できるでしょう。
自分があまりに野心的な目標を設定していることがわかるかもしれません。あなたも私と同じなら、実際は完了する気がないために、いつもリストの下に移動させられるのがわかっている計画済みタスクがリストにあるでしょう。目標と結果を正直に評価したなら、実際に何を完了できるかがよりはっきりとわかるでしょう。
その次は、あなたの時間を要求してくる人たちにそれを明確にすることです。正確だと考えられる見積もりができたら、その点で態度をはっきりさせます。範囲の変更なしで期間の圧縮を受け入れるよう圧力をかけられるのを警戒しましょう。
ノーと言うことを学ぶ
チームのかけがえのないメンバーとして認識されるという目的への道のりで、皆からの要求に応えたいという誘惑に駆られるでしょう。見積のところで説明したとおり、何かにどれだけ時間がかかるか判断した後でも、さらなる作業を引き受けるよう、あるいは必要だと考えるより短い期間で仕事を完了させるよう圧力をかけてくる人がいるかもしれません。あなたはそのような要求にデータをもって断固として対する必要があります。納得できなければ押し返してかまいません。
ノーを言うのに一番都合の良いシナリオは、グループの中でメンバーが何かを依頼してきた場合です。あなたは手持ちの作業と要求を勘案する必要があり、ときには一番簡単で都合の良い答えは、手を挙げないことかもしれません。他の人を助けたいという気持ちから葛藤を感じる場合は、次のようにしてみてください。
やってくるものをむやみに受け入れるのではなく、いったん立ち止まって、なぜ追加のタスクや責任を引き受けるのかを考えてみましょう。
- 好意でやろうとしているのか?
- それはキャリアを発展させるか?
- チームの助けになるか?
- 優先順位は適切か?
- 本当にやりたいことか?
- 自分なりの水準を満たしながら完了する時間があるか?
あなたが自分の価値を文書化していれば、自分に何ができるか、どれくらい時間がかかるかがわかるでしょう。次にするべきことは、あなたのためになるタスクを引き受けることです。他の誰かに頼まれたから、あるいは単に他の誰もやりたがらないから何でも引き受けるのではなく、興味を持てるものだけを引き受けます。
成長に向かう機会を積極的に作ります。優れたマネージャーは、あなたに挑戦と教訓をもたらす機会を提供できます。しかし、すべてのマネージャーが優れているわけではありませんし、すべてのマネージャーがあなたの成長を望んでいるわけでもありません。あなたは明確に意識して目標を設定し、率直にプロジェクトや機会を求める必要があります。検討しているタスクが目的に合致しない場合、自信を持ってノーと言いましょう。
要求を押し返すのに有効な方法は、優先順位を使うことです。すでに取り組んでいるタスクがある場合、新しいタスクは既存のタスクより重要かどうかと尋ねましょう。そうすると、要求してきた人は現在頭を占めている考え以外のことを検討せざるをえません。既存のタスクは週間の目標として文書化されているため、把握するのは簡単です。
あなたなりの水準を満たしながら完了できるだけの時間、エネルギー、興味がないタスクに同意しないようにしましょう。「いやしくもなすべき価値があることは、立派になす価値がある (Whatever is worth doing at all, is worth doing well.)」ということわざを聞いたことがあるでしょう。これは、キャリアの構築においては特に当てはまります。タスクを完了させないこと、あるいはずさんな仕事をすることは、あなた自身とあなたの職業倫理の評判を損ねます。スキルを見せることができるよう、興味の対象から離れないようにしましょう。
これには注意すべき点もあります。一日の終わりに、仕事をしていて、望まないタスクを割り当てられることがあるかもしれません。自分自身の良い支持者なら、そういったことを断るときも角を立てないようにできるでしょう。あなたは説得力のあるデータを駆使できるからです。あなたは自分の強みについて、また他の仕事をすることで組織に提供できる価値について話すことができます。また、他の誰もやりたがらないがチームのためにずっと行っている退屈なタスクについてのデータもあります。
これは交渉の足場となります。うまくいけば、タスクを依頼してきた人がものわかりよく、快く調整してくれるかもしれませんが、あなたが切り出さなければ、相手は調整の必要に気が付かないでしょう。
あなたには力がある
いまやあなたは武器を身に着け、あなた自身の価値を突き止め、理解するためのコツを身につけました。働き方に関するジャーニーの中で獲得した知識を逃さないようにしましょう。あなたの強みと興味をマネージャーやチームと共有するよう努めましょう。
あなたのスキルはあなたのパワーであり、それを追求することは自分自身への贈り物です。注意深くまとめられた業績のリストを維持し、この情報を利用してマネージャーとのコミュニケーションをとり、今後の作業を見積もり、目的に合わない仕事にノーと言える力を自分に与えます。
Dee Annは熱心で好奇心にあふれたソフトウェアテスターです。15年以上にわたって、さまざまな業界の顧客向けに、小規模からエンタープライズ規模まで、きわめて複雑なビジネスロジックを持つカスタムモバイルおよびWebアプリケーションをサポートしてきた経験があります。現在、Dee AnnはBRDのDirector of Engineeringとして勤務し、iOSおよびAndroid向け暗号通貨ウォレットに取り組む才能あるチームとコラボレートしています。
(この記事は、開発元Gurock社の Blog 「Be Your Best Advocate: How to Track Your Career Value」2020年6月9日の翻訳記事です。)