Hannah Son著
QA マネージャーやその他のステークホルダーには、自分が管理するすべてのプロジェクトの詳細まで立ち入る時間はありません。目標、期待値、締め切りを設定したら、これらが確実に満たされるようにすることが責務です。つまり、多くの場合、大局的な視点から見ます。
テスターはプロジェクトの一環として新規テストケースの作成、テストケースの実行、欠陥の発見、欠陥の記録、ブロッカーとなる問題に関する議論など、さまざまなアクティビティを実施します。これらはすべて無事に製品をデリバリーするのに欠かせないアクティビティですが、ステークホルダーには、テストの進捗に関する情報を得るために詳細をひとつひとつ調べている時間はありません。
必要とされるのは、情報を得たうえで意思決定を行うのに役立つ概要レベルのデータです。そこでテストステータスレポートが重要になります。
テストステータスレポートとは
テストステータスレポートは、特定の期間に発生したすべてのテスト関連アクティビティのサマリーを記述したレポートであり、定量的情報によってプロジェクトのステータスを明らかにします。そのため、テストステータスレポートは、プロジェクトチームと主要なステークホルダー間の効果的なコミュニケーションツールになります。ステークホルダーには、QA マネージャー、品質マネージャー、リリース マネージャー、そのほかのリーダーチームの他の人々が含まれます。
ステータスレポートは以下のようなよくある質問に答えるのに役立ちます。
- プロジェクトの進捗は計画どおりか?
- 予定どおり製品をリリースできるか?
- 対応を必要とする致命的な問題はないか?
- 計画に影響を与えるブロッカーとなる問題はないか?
- プロジェクトに追加のリソースは必要ないか?
通常、ステータスレポートを準備するのはテストリードまたはQAマネージャーの役目であり、必要な情報をレポートに記載して定期的にプロジェクトの重要な利害関係者に送信します。
先にも言ったとおり、ステータスレポートはテスト進捗の概要レベルのサマリーであるため、通常は1ページから2ページ程度の長さです。
ステータスレポートに記載する必要があるキーメトリクス
プロジェクトの置かれた状況や、ステークホルダーが意思決定のために求める情報によって、ステータスレポートに含まれる情報は異なる場合があるため、ステータスレポートの作成方法は1つではありません。
ステータスレポートの大きな問題の1つが、ステークホルダーの興味がない情報ばかり載せてしまうことです。結果として、レポートは無視され、他の大量の未読メールとともに、受信箱にたまったままになります。リリース日が近くなってはじめて、マネジメントチームはまだ対処しなければならない問題が残っていることを知って驚き、結局、開発チームはリリースの締め切りに間に合いません。結果として、全社的な時間とコスト、労力の無駄が発生します。
このような問題を避けるもっと予防的なアプローチは、テストステータスレポートの運用を始めるよりさらに前に、ステークホルダーとミーティングを行うことです。プロジェクトのステータスを把握するためにどんな情報を求めているかを明らかにします。話し合った内容に基づいてステータスレポートを調整します。
とは言っても、一般的なテストステータスレポートには、プロジェクトのステータスに関する次の5つの情報が含まれます。
- プロジェクト情報: プロジェクト名、説明、テスト対象製品、製品バージョンなどの詳細です。
- テストサマリー: 実施されたテストの種類―手動テスト、自動テスト、探索テスト、リスクベーステストなど―と、重大な欠陥があったかどうか、製品は安定しているか、その他のすぐに役に立つ情報があればそれも含めたテスト結果に関する概要です。
- 欠陥情報: 優先度が緊急、高、中、低の欠陥の合計など、その週に見つかったすべての欠陥の内訳です。また、優先度が緊急や高のバグの簡単な説明、詳細情報へのリンク、クローズされた欠陥の数を記載します。
- ブロックする問題: テストの進捗をブロックするもの、またはマネジメントチームが知るべき要注意事項です。
- 次週の優先事項: 次週に実施を計画しているものです。チームのアクティビティがステークホルダーの期待に沿っているか、また計画通りに進行しているかがわかるようにします。
テストステータスレポートをどう共有するか
この疑問への答えは、開発プロセスのどの段階にあるかによって異なります。たとえば、製品のリリースが1週間以内に計画されている場合、日ごとにステータスの更新が必要です。6か月にわたるリリース計画の中間あたりにある場合は、週に1回、または2週に1回、更新を送るとよいでしょう。
通常、毎週末にQAマネージャーまたはテストリードがテストステータスレポートを送信します。すると、一定の間隔で情報のフローが継続します。
ステータスレポートは、皆がアクセスできるよう、電子メールで送信するか、wikiや共有フォルダーなどの一元的な場所に保存されます。さらに、毎日のスタンダップミーティング、レトロスペクティブミーティング、チームミーティング、およびSlackなどのメッセージチャネルを通じて毎日進捗を伝達するべきです。
ただし、重要な情報を伝える場合は、週末まで待つ必要はありません。チームがすばやく対処できるよう、さまざまな方法でただちに重要な情報を伝える必要がある場合もあるでしょう。
テストステータスレポート作成にツールを利用する方法
従来、テストステータスレポートの作成にはWord文書やExcelシートが使われてきました。この方法の大きな問題は、時間がかかることです。QAマネージャーやテストリードは、1日のかなりの時間を単に必要な情報をすべて集めて表や行に入力することに割いていました。
現在では、ボタンをクリックするだけでデータをすべて自動的に収集してレポートを生成し、節約した時間を他のテストアクティビティに費やすことが可能です。強調したい情報に応じて、ステータスレポートをカスタマイズすることもできます。
ツールによっては設定に時間がかかり、特定のプログラミング言語だけしかサポートしていない場合もあります。TestRailなどのテスト管理ツールを使用すると、すべてのテストアクティビティを容易に管理し、使用されているフレームワークやプログラミング言語にかかわらず、即座にレポートを生成できる場合もあります。
下の図は、TestRailによって生成されたテストステータスレポートのサンプルです。(注:TestRail日本語版ではレポートを日本語で出力できます)
TestRailによって生成されたテストステータスレポートのサンプル
テストステータスレポートに記載するべき情報を判断するのは、どんな組織にとっても難しい課題です。正解は、プロジェクトやステークホルダーが知りたい情報の種類によって異なります。結局のところ、みながプロジェクトの最新のステータスを把握し、情報を得たうえで意思決定を行うために、レポートは依然として不可欠のコミュニケーションツールです。
あなたはテストステータスレポートを使っていますか?使っていないなら、あなたの組織にとって役に立つかどうか、評価してみてください。今こそ始めるべきなのかもしれません。
(この記事は、開発元Gurock社の Blog 「How to Create Valuable Testing Status Reports: Metrics, Templates, and Examples」2022年1月31日の翻訳記事です。)
関連する製品
テスト管理ツール TestRail
テストケースの管理やテスト結果の記録、チームでの情報共有など、Excelを使ったテスト管理の業務に限界を感じていませんか?TestRailはシンプルで使いやすいUIを提供し、テストにかかるさまざまな管理コストの削減に貢献します。
■ TestRailの特長 ■
- テストにさまざまな情報を関連づけて一元管理
- Webブラウザー上でテストケースを簡単に入力や編集可能
- テスト実施の準備と結果の共有が容易
- 進捗や比較などのレポートを提供
- 要件 / 課題管理ツールやテスト自動化ツールと連携
日本国内では、テスト管理にExcelを使っていたお客さまからの乗り換えが多く、Web上で完結するテスト管理を実現されています。
TestRail でテスト管理のお悩みを解決しませんか?
テストの生産性向上をTestRailでお試しください
クラウドおよびオンプレミス、デモサイトでTestRailがお試しいただけます。
- TestRailクラウド(クラウドサービス)
- クラウドサービス環境でTestRailをお試しいただけます。
- TestRailサーバー(オンプレミス版)
- お客様のマシンにTestRailをインストールしてお試しいただけます。
- TestRailデモサイト
- インストールなどの設定なしにTestRailにサンプルデータが登録された環境にて操作をお試しいただけます。