
本記事では、TestRailにおける実施するテストケースの選定方法についてご紹介します。
ソフトウェアテストにおけるテストケースの選定
テストを実施する際には、闇雲にすべてのテストケースを実施するのではなく、対象のシステムや機能にとって必要性が高く、かつ関連性の深いテストケースに優先順位をつけて絞り込むことが重要です。
すべてのテストを網羅しようとすると、時間やリソースが不足する可能性があり、結果として効率が低下してしまう恐れがあります。
一方で、必要なテスト項目を適切に選定して実施することで、限られたリソースを有効活用しながら、効率的かつ効果的にシステムや製品の品質を確保することができます。
このようなアプローチにより、テストプロセス全体の負担を軽減するとともに、重要な不具合を早期に検出することが可能になります。

TestRailにおけるテストケースの選定方法
TestRailでは、下の図のようにテストケースがマスター管理され、テストを実施する際に都度必要なテストケースを選定します。選定したテストケースを元にテストラン(実施するテストのまとまり)を作成し、結果を記録していきます。

下の図はマスターとなるテストケースの一覧画面です。テストケースはセクションを使って階層化して管理されています。さらに優先度やタイプなどの属性情報が入力されています。

下の図はテストケースの一覧からセクションが「前提条件」で優先度が「Critical」または「High」のものを選定して作成したテストランの画面です。各テストに結果が記録されています。

実施したいテストにあわせてどのようにテストケースを選定するのかご紹介します。
全件テストをしたい場合
テストランの作成時に、「すべてのテストケースを含める」を選択します。

テストスイート(テストケースをまとめたもの)に含まれるすべてのテストケースが選択されます。テストスイートに新たなテストケースが追加されると、テストランにも自動でテストが追加されます。
テストの目的に応じて一部のテストケースを選択したい場合
テストランの作成時に、「特定のテストケースを選択」または「動的フィルタリング」を選びます。

「選択の変更」より機能や優先度などのTestRailの項目(テストケースの属性情報)を使ってテストケースをフィルタリングします。具体的な例をご紹介します。
例1:新機能を追加した場合
例えば「ユーザー登録機能」に新機能を追加した場合、影響範囲を考慮して、下の図のように「ユーザー管理機能」のセクションに含まれるすべてのテストケースを選定します。

「ユーザー管理機能」のセクションを選択することで、配下のセクションに含まれるテストを一括で選定することができ、実施すべきテストの抜け漏れを防ぐことができます。
例2:軽微なバグ修正を行った場合
「ユーザー登録機能」に対して軽微なバグ修正のみ行った場合は、「ユーザー登録機能」の中の優先度の高いテストケースのみ選定します。下の図のようにセクションが「ユーザー登録機能」で「優先度」が「Critical」または「High」のものをフィルタリングします。

優先度を使ってフィルタリングすることで最低限実施すべきテストを抜け漏れなく簡単に選定できます。
実施すべきテストを簡単に選定することで、リグレッションテストなどの繰り返し実施されるテストの準備工数を削減できます。
「動的フィルタリング」とは
「動的フィルタリング」を選択すると、テストランの作成後に、フィルタリング条件に一致するテストケースが追加されたり、テストケースを変更してフィルタリング条件から外れた場合、テストランに反映されます。
例えば、下の図では、動的フィルタリングを使ってセクションが「ユーザー登録機能」、優先度が「Critical」または「High」のものをフィルタリングし、5件のテストケースを選定してテストランを作成しています。

テストランの作成後に、セクションが「ユーザー登録機能」で「優先度」が「Critical」のテストケースを追加します。

追加されたテストケースがテストランに自動で反映されます。動的フィルタリングによりテストランの作成後に追加されたテストケースには、動的フィルタリングのアイコンが表示されます。

このように、「動的フィルタリング」を使うと、マスターとなるテストケースの追加・削除があった場合にも自動で対応できるため、テストケースの作成とテスト実施を並行して行う必要がある場合に便利です。
再テスト時に失敗したテストのみ選定したい場合
テストランにテスト結果を記録した後に、失敗したテストのみ再度テストしたい場合は「再実施」の機能を利用します。例えば下の図では、6件のテストのうち2件のステータスが「Failed」となっています。

「再実施」をクリックして、「Failed」のステータスのみ選択し、「OK」をクリックします。テストを同じ担当者にアサインしたい場合は「担当者のコピー」にチェックを入れます。

ステータスが「Failed」だったテストのみ選定してテストランが作成されます。

このように、「再実施」を利用すると、失敗したテストのみを簡単に選定できるため、不具合を修正した後にテストが成功するかどうか確認する際に便利です。
まとめ
TestRailのテストケースの選定について紹介しました。マスターとして管理されているテストケースの一覧から、実施すべきテストを効率よく選定することで、テスト工数を削減したり、実施すべきテストの抜け漏れを防ぐ効果を期待できます。
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