TestRail活用術:ベースラインを使ったテストケースのバージョン管理

TestRailテストケースのバージョン管理

テスト管理ツール「TestRail」には、過去のある時点のテストスイート(テストケースを特定の目的や対象でグルーピングしたもの)をベースラインとして保持しておく機能があります。ソフトウェア開発において複数のバージョンのメンテナンスをしなければならない場合、バージョンごとのテストケースをベースラインとして保持しておけると便利です。

本記事では、ベースラインの利用シーンとベースラインを使って過去のテストスイートを保持する方法をご紹介します。

ベースラインの利用シーン

ベースラインは、ソフトウェア開発で複数のバージョンのメンテナンスをしなければならないときに利用します。例えば、派生開発や並行開発の場合は、複数のバージョンの開発をするため、テストケースも各バージョンに合わせたものを保持しておけると便利です。

最新版のテストスイートのみを管理している場合、過去のバージョンのテストを再実施したくても、既にテスト内容が修正されてしまっているため、下の図のように過去に実施したものと同じテストを再実施することができません。

TestRailでは、マスターテストスイートとベースラインを用いることで、過去のテストスイートを保持して、テストスイートのバージョン管理ができます。ベースラインはその時点のマスターテストスイートまたは既存のベースラインから作成できます。

ベースラインを使ってバージョン管理を行うことで、下の図のように過去のバージョンのテストケースを使ってテストを実施できる、過去のテストケースを修正できる、といったメリットがあります。

ベースラインを使って過去のテストスイートを保持する場合

ベースラインを作成すると、「テストスイートとケース」画面は以下のように表示されます。

TestRailのテストスイートとケース画面
TestRail製品ページ

ベースラインの使い方

1.プロジェクト作成

プロジェクトは 「ベースライン サポートありの単一リポジトリを使用する」で作成します。

TestRailのプロジェクト作成画面

2.マスターテストスイートでテストケースの追加・管理

プロジェクトを作成すると、下の図のように 「テストスイートとケース」画面に「Master」という名称のテストスイートが作成されます。(名称は変更可能です。)

TestRailのテストスイートとケース画面

マスターテストスイートではプロジェクトの最新のテストケースを管理します。マスターテストスイートは、プロジェクトに1個だけ登録されます。複数のテストスイートでテストケースを管理することはできないため、テストケースを分類する場合はテストスイート内のセクションを使用します。

3.ベースラインの作成

テストケースをマスターテストスイートと分けて管理したいタイミングで、ベースラインを作成します。「テストスイートとケース」画面で「ベースラインの追加」をクリックします。

TestRailのテストスイートとケース画面

「ベースラインの追加」ダイアログが表示されるので、ベースラインの名称を入力し、コピー元のプロジェクトとテストスイートを選択します。

TestRailのベースラインの追加ダイアログ

コピー元には、そのプロジェクトのマスターテストスイートの他、別プロジェクトのテストスイートも選択できます。コピー元のテストスイートに含まれる全てのテストケースがベースラインにコピーされます。

ベースラインの作成後に、テストケースの追加や編集が必要になった際は、マスターのテストスイートで編集します。マスターテストスイートを常に最新の状態にしておき、必要なタイミングでベースラインを作成します。

このように運用することで、マスターテストスイートに過去に実施したテスト結果が履歴として残り続けるため、過去のバージョンでのテスト結果を確認する場合も便利です。

TestRailのテストケースの詳細画面

4.テストラン作成

過去のテストケースを使ってテストを実施する場合は、保存しておいたベースラインからテストランを作成します。下の図はテストラン作成時のテストスイートの選択画面です。「テストスイート Ver1.0」のベースラインからテストランを作成しようとしています。

TestRailのテストスイートの選択画面

まとめ

TestRailのベースラインを使ったテストケースのバージョン管理について解説しました。ベースラインを作成すると、過去のある時点のテストスイートを保持しておけるため、必要に応じて過去のテストケースを使ってテストを実施したり、過去のテストケースを修正したりすることができます。今後のテスト活動に役立ててみてください。

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